3inchスピーカユニット PM-M0841CKを味わう(4)

4)ノッチフィルタを追加したSPL特性(メッシュカバー無し)

ノッチフィルタの有無による周波数特性の違いを示します。

f:id:soundlabtune:20230131080348j:image<黒:ノッチフィルタ有り、緑:ノッチフィルタ無し>

追加したノッチフィルタによって、11kHzでのブレイクアップピークを約8dB程下げることができました。フィルタの追加によって4kHz近傍以上の周波数では、SPLが数dB低下しています。なお、空芯インピーダンスの最適値はもう少し小さそうですが、巻線を解き、短くし過ぎると取り返しが付かないので程々にしました。

インピーダンス特性では、ノッチフィルタによる鋭い共振ピークが11.4kHzに現れています。

f:id:soundlabtune:20230131080454j:image<黒:ノッチフィルタ有り、赤:フィルタ無し>

ノッチフィルタを追加したときの、ユニット軸角度による SPLの周波数特性を調べました。15°では、ノッチフィルタ の無い場合と傾向は似ていますが、0°との変化量が小さくなりました。 一方、30°では、3kHz以上からSPLが低下し始め、ブレイクアップ後は大きく音圧が下がっています。フィルタ無しと似た傾向です。

f:id:soundlabtune:20230131080549j:image<黒:0°、青:15°、緑:30°>

以上のように、並列型のLCRフィルタ を追加することによって、ユニット軸からの角度、0°、15°のSPLは、60-20kHzの範囲で、ほぼ-5dB±5dBと大部フラットになりました。なお、実際の出力音圧レベルは、80dB (2.83V/1m) ±5dB程度です。

リスニングポジションが、ユニット軸から±15°くらいの範囲であれば、良質な音楽が楽しめそうです。

3inchスピーカユニット PM-M0841CKを味わう(3)

3)ノッチフィルタの作製

ブレイクアップピーク近傍でのSPLの周波数特性の乱れを見てしまうとフラットな特性にしたくなります。

そこで、ブレイクアップピークを抑えるためのノッチフィルタを追加することにしました。並列型のLCRフィルタで、音質劣化を出来るだけ避けるために、銅線径0.8mmの空芯コイル、フィルムコンデンサ、セメント抵抗を用いました。0.059mHの空芯コイルは自作しました。共振ピークが鋭いので、インピーダンスの調整が大変です。

f:id:soundlabtune:20230130123250j:image<0.059mH自作コイル>

f:id:soundlabtune:20230130123624j:image<自作LCRフィルタ>

3inchスピーカユニット PM-M0841CKを味わう(2)

2)SPLの周波数特性

スピーカユニットの軸上30cmでの周波数特性を調べた結果です。

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バッフルステップによる2kHz近傍での音圧上昇、エッジ共振に起因する4kHz付近のデップ、また、11kHz付近にはブレイクアップよる大きなピークがあります。この大きなピークを除けば、60〜20kHzで概ね ±5dB程度に収まっています。

インピーダンス特性は、ダブルバフレフ方式なのでピークが三つあります。第一ポートによる300Hz近傍のピークは思った程大きくありませんでした。

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次に、スピーカユニット軸からの角度による SPLの周波数特性を調べました。15°、30°では、3kHz以上からSPLが低下し始め、ブレイクアップ後は極端に音圧が下がってしまいます。この時、軸上の音圧に大きな低下はありません。

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<黒:0°、青:15°、灰:30°>

金属メッシュカバーのSPLへの影響は、思っていたよりも小さいものでした。下図で、黒線はカバー無し、青線はカバー有り、です。大きく違うところは、4kHz近傍と、ブレイクアップピークでの、いずれも3dB程度の音圧低下が有ります。メッシュカバーを外した方がスピーカ本来の特性が得られますが、その違いはそれ程大きくありません。

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<黒:メッシュ無し、緑:メッシュ有り>

3inchスピーカユニット PM-M0841CKを味わう(1)

1)エンクロージャーの製作

Amazonで評判の良い3inスピーカユニットPM-M0841CKを用いてダブルバスレフ方式のスピーカを作りました。

周波数特性における数百Hzでの中弛みを避けたいと考えて、ダブルバスレフ方式にしました。

サイズは124Wx253Hx204Dで、12mm厚さのMDFを使用しました。MDF板のままだと味気が無いので、水性オイルステインのマホガニーで着色して、サンディングシーラを塗った後、仕上げに水性透明ウレタンニスを塗りました。

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スピーカユニットの固定は、3インチのスピーカフレームカバーで行っています。金属のメッシュカバーの脱着も可能にしました。

内部構造は、ごく一般的なダブルバスレフです。

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評判に違わず、なかなか良い音です。4inchクラスのスピーカと比べても遜色を感じません。ポップス、ジャズやクラッシック音楽などを心地良く聴くことができます。